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執筆者の写真北原 功士

昭和を背景に描く事

 令和怪奇画報では、平安時代やネット怪談以外の妖怪は僕の少年期である昭和70年代を背景にしています。

 そこに描くものは、記憶とネット検索、書籍などを資料としていますが、追求し尽くすには時間的になかなか難しい作業で、妥協と雰囲気との折り合いで良しとしており、昭和という時代を描く事で満足はできていません。

 昭和を舞台としたアニメや映画を観てみたりもしますが、レトロに寄り過ぎている気もします。

 僕の家は隙間風が入るような木造家屋で、水洗トイレや電子レンジなどないような昭和感バリバリの焦げ茶色の世界でしたが、一方で東芝のアクタスパラボラなどもあり、ハイテク要素も混在していたのです。

 おもちゃも、変身サイボーグや超合金など今でいう6/1フィギュアや超合金魂のようなものがすでにあったばかりか、カセットエイトムービーなど自宅で映画フィルムを投影できるものまでありました。決して裕福とはいえない僕の家にすらそんなものがあったのです。

 昭和60年代とは違う、意外と豊かな物の時代である70年代という世界を切り取り上手く背景として融合させるのが意外と難題です。

 皆さんが既視感を感じるのも、60年代の昭和であろうと思うので、今のところそのあたりに落ち着いているのですが、実際はなんとか70年代の空気を絵にしたいと思っております。

 しかしながら描かねばならないのは妖怪とその面白さであるので、背景への拘りは二の次になってしまうのは仕方ありませんが。

 それでも、皆さんが心地良く感じる昭和の空気感をできる範囲で描く事が僕自身の楽しみでもあるのです。

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