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執筆者の写真北原 功士

子供の頃の怖い場所

 10歳に満たない頃、怖い場所に一人で行くのが好きというか、子供なりのイニシエーションとして時々挑戦していました。

 夜や夕暮れは怖すぎるので避けて、できれば太陽光のある午後。

 森の中、神社や墓地、防空壕跡、空き地にある用途不明の地下室・・・東京郊外では近所に結構ありました。一人で行くとちょっと怖い場所が。

 とにかく、そこに行き何もしないで辺りの様子を感じながらただ佇む。だんだん怖くなって耐えられなくなったら駆け足で逃げ出すという行為なのですが、数分でも一人でそこにいたという事実が通過儀礼として、達成感がありました。

 大人になると、そういう怖い場所は減ってしまいましたが、実はまだあります。

 バイクで日本中を走り回っていた頃、廃墟に行ってみた事があります。やはり一人でいると、掴み所のない恐怖が感じられて30分も経たずに退散しました。

 他には、冷や汗をかくような思いにとらわれた場所では、北海道の知床の山奥や長野県戸隠山の深夜の森林。

どちらも野生の熊の観測のために訪れた場所ですが、熊との出会い頭での接触は恐怖です。熊の糞や、寝ていたと思われる広範囲に倒れた草などを見つけ、そこが沢の近くだったりすると、熊にはこちらの起てる音も聞こえないため、いきなり近距離での接触をしてしまう可能性を考え、怖くなります。

 こういった一人でいるだけで怖い想像をしたりしてしまう場所の共通点は、滅多に人が来る場所でないところです。

 山奥にある湖畔のキャンプ場で一人だけのテントで夜中に足音や獣の鳴き声が聞こえた時も相当恐怖でした。

 単独登山をしている時も怖い気持ちになったりしますし、誰もいない、来るはずのない場所に一人でいる事は、昼間であろうと怖くなれます。

 僕が怖がりなのかも知れませが、動悸が激しくなり、脇の下にいやな汗をかくような恐怖を味わえる場所は、大人になった今でもたくさんあり、深夜という時間を加えれば、世界は怖い場所だらけですね。  

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